Special present 12/17





今日がなんの日か。
多分わたしが偉い人になったら休日になるわよ?
皆楽しみにしててほしいものね。

そう、今日はわたしの誕生日よ!



いつもマヌケなキョンでもさすがに覚えてるわよね?
覚えてなかったら磔にして火あぶりにするつもりだからね。
でも実はキョンには誕生日の日を知らせてないのよ。
まぁ他の人にでも聞いてるでしょうね。



今日は学校には少しだけ遅れていこう。 うん、そうね
キョンがいきなり『ハルヒ、誕生日おめでとう』なんて言ってプレゼント渡してくるかもしれないわ
そんくらいしてくれるのなら今日はキョンを特別扱いしてあげるつもりよ。
もっとサプライズ的なことしてくれたら・・・ ふふ、まぁいいわ、待ってなさいよ!






さぁ扉開くわよ、キョン? 準備いいでしょうね?

力無しにゆっくりと扉を開けてみた
広がっていた光景はいつも通りの教室、
でも一人だけ違った。 もちろんキョン。
いつもならアホ谷口や国木田と話してるけど今日は席で窓の外を眺めているわ。
さぁ、どうゆう方法でくるのかしら? 楽しみだわ。

「おっはよー、キョン」
「お、おぅ、おはようハルヒ」

ふふん、なんだか焦ってるようね。

「んー、キョン! 今日一緒にお昼食べない?」
こうやって渡す機会あげるのよ、感謝しなさいよ?
「まぁいいけど? ちょうど俺もそんな気分だったしな」
そんな気分? どんな気分なのよ・・・
まさーかー、わたしと一緒にいたい、って事?
うっわぁーキョン、それ回りくどい告白みたいなものよ?
まぁいいわ、あんたには期待してるわよ?








授業中にも何度もキョンにチャンスをあげたのに・・・
まったく気づかなかったわ、磔にするわよ?



「キョーン! お弁当食べにいきましょう!」
「そうだな」


ちょっと、キョン、なんで何も持ってないんの?
プレゼントは?

「どうしたんだハルヒ? なんか気分悪そうだぞ?」
「べ、別になんともないわよ?」
「そうか? ならいいんだが・・・」

よくないわよ、あんたわたしの誕生日って事知ってんでしょうね?
知らなかったらそれはそれで磔+火あぶり+股間蹴り、よ!
あんたがいつ渡すかいいタイミングを狙ってるのなら褒めてあげるわ。


「ここでいいだろう」
キョンが決めたのは中にはの木陰。
いつもは人気スポットなのに今日はあんまし人がいない
皆気を使ってるのよキョン! いい?絶好のタイミングで渡すのよ!







お弁当を開いてご飯食べてるのにキョンは無言。
話が進まないじゃない! これじゃぁタイミングが作れないわよ?
今回だけは、わたしから話を進ませてあげるわよ。

「ねぇキョン」
「ん? なんだ?」
「最近どう?」
「最近って言われてもな・・・ 特に無い」

会話終了。



はぁ!? ふざけんじゃないわよ? もっと展開させなさいよ! て・ん・か・い!
あっ、これなら喰らいつきそうね、わたしも気になるし

「あんた今好きな人いる?」

キョンはビクゥッ!と体を震えさせてこっちにゆっくり目を向けてきた
何でそんなビックリするのよ?

「一つ聞いていいかハルヒ?」
「何よ」
「俺が好きな人できたら、もしくわ付き合ってたら俺がお前と一緒に弁当食ってないぞ?」

まぁそれもそうね、てっきり浮気とでも思われたら最悪だしね。

「ふーん」





































イライラしてきたわ・・・
このバカキョンめ・・・  わたしより先に寝やがった・・・
このペンで突き刺してやろうかしら? でもそんなことしてキョンを怒らせたらプレゼントも貰えないわ
ぬぁ、眠いわ・・・ あのバカ教師め・・・ うるさいのよ・・・





































「うぉーぃ、ハルヒー、起きろよー」

あれ? わたし寝たんだ・・・

「うぉーぃ」

この声はキョンね・・・

「ハールーヒー」
「ぬぁぁ!! もう、うるさいわね!!」
「うるさいもくそもねえ、ほら部室行くぞ」

周りを見渡してもクラスメイトがいない。
唯一キョンがいる。  って!

これって絶好のチャンスよキョン!
早く渡しなさいよ! 今なら許してあげるわよ?

「なんで睨むんだよ」

睨んでなんかないわよ

「何か言いたいことあるならいえよ」

言ったら全てが台無しよ! 最高の状態なのに!

「じゃぁ先に部室行ってるからな」

ガラガラガラ、パタン


って、え!? ええ!??
出てった・・・ 教室から出て行った・・・
ちょっと、それはないわよ! 変なサプライズじゃない!

「キョン! 待ちなさいよ!」

とりあえず鞄を持ってダッシュでキョンを追いかけた



「ハルヒ」

「うわっとっと・・・」
突然キョンがわたしの名前言うもんだからドッキッとしてこけそうになったじゃない

「まぁ、なんだ・・・ その〜 いいにくいんだが・・・」

夕焼けの空の色がキョンの顔にも移って赤く染まってる

「なによ?」
「なんだ、その・・・」
「回りくどい台詞は却下よ、単刀直入に言いなさい」
「じゃぁそうさせてもらう」

ふふ、やっとね・・・
まぁ中々のタイミングじゃない、夕焼けが綺麗だし。
後ちょっとサプライズ的なものがあったら最高だったわ、でも今回はいいわ。

てゆーかなんであんたはそんなに口が開いたり閉じたりするのよ
『誕生日おめでとう』でもいいわ、『おめでとう』だけでもいいから早くしなさいよ。
でも気になるわね、プレゼントが見当たらないわよ?
鞄の中に入ってるのね? 小物かぁ、まっ気持ちがこもってるならいいけど。












「ハルヒ、好きだ」












ふぁぁああああああああああああああああああああ!????!!!??
今なんつったのよこいつ!
好き? 好き? 好きぃぃ!?
キョンが? わたしを?
まさか、何かの聞き間違えよ。

「今なんて・・・?」

「好きだ」




キョンの目はマヂ・・・  どうゆうサプライズなのよ・・・
磔よ! 磔! でも火あぶりはしないわよー その代わり色々ねー

って! なんでわたしはこんな妄想してんのよ!
ちょっと突然すぎるでしょ!?  しかも何?このムード! 最高じゃない!
もしここでわたしが振ったら今までにない歴史上に残るほど最悪な状態よ。
キョンもキョンよ! もうちょっとコッタ告白しなさいよ!
あっ、でもわたしが単刀直入に言いなさいっていったんだっけ?
でもそれはプレゼントの話よ、あぁーもう。

「あんたが頼み込むなら付き合ってもいいわよ?」
「じゃぁお願いだ」

「その前にもうひとつ言わなきゃいけないことがあるんじゃないの?」
「あぁ、そうだったな・・・  ハルヒ、誕生日おめでとう」

やっぱり知ってるようね、まっ知らないほうが団員としておかしいけどね。

「で?」

「で? とは?」

「プレゼント!」

「あぁ、そうだったな・・・ なぁ、一つ聞くけどお前ってぬいぐるみとか好きか?」

ベタね、実にベタだわ
女の子の誕生日にぬいぐるみを選んだのはまぁ正解だわ。
でもねキョン。

「ぬいぐるみ? わたしは大好きよ?」
「ならよかった、ほれ」

キョンが鞄から出したのは茶色いクマのぬいぐるみ
うん、実にベタね。

「ありがとっ、大切にするわ」
「まさかハルヒがぬいぐるみが好きだったなんてな、ハッハハ」

磔にしよう。





部室に行ったらみんな誕生日を覚えててくれたらしくプレゼントをくれた。

「みんなありがとうね!」















家に帰ってから貰ったものをズラァーと並べてみた。
キョンのクマはなんだか高そうなもので出来ていた。 やわらかい・・・
まぁあいつらしいわね。

でもまぁ今日だけで三週間分は幸せを感じたわ。
キョンから告白もされたしね、返してなかったけど・・・
明日返してあげるわよ。 待ってなさいよ。


あっ、そうね。  皆にお礼の手紙でも書こうかしら。



キョンだけは特別よ? わたしもあんたの事が好きだからね。